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態で送信ができるものである。詳しい規格などは次節で国際的な規格と国内法規によって詳しく述べるが、保守点検で測定される性能を中心に以下に示す。
送信周波数は406.025MHz(±2KHz)送信電力は50Ωの負荷で測定して5W(7dBW=37dBm)±2dB(約3.2W〜8W)である。その特性の中で最も重要なのは、衛星の上空の通過中の送信周波数が安定なことであって、これは、LUTでの位置の決定の計算の精度に影響を与えるから、この安定度が落ちると、位置の精度が悪くなるばかりでなく、衛星軌道の片側に位置が決まらなくなることも起きるからである。この安定度は図1.7のように短期と15分程度の中期の安定度として規定されているが、この測定は、非常に難しいので保守点検での測定はできないが、送信周波数が規定値を外れるなど、この安定度に疑いがあるときには、製造会社に測定を依頼するなどの措置が必要である。メッセージは0と1の組合わせのデジタル通信で、変調は0と1で、搬送波の位相の遅れ進めをする位相変調で、遅れ進めは、それぞれ1.1±0.1ラジアン(rad)(1rad=180°/π=約57.3°)である。
送信の内容は、図1.8に示す通りである。送信の始めにまず、160ms(ミリ秒)±1%の無変調の搬送波だけが送信される。この搬送波の部分で、衛星はその受信周波数を測定し、送信周波数の測定の場合もこの部分で測定する。ビット同期(15ビット)は、0と1の区切り目を教える符号で、全部が1である。フレーム同期(9ビット)は、この符号の終りからメッセージが始まることを受信機に教える符号で「00010111」である。この二つ、すなわち、「11111111111111100010111」という同期符号の受信で、受信機は受信の準備が整うことになる。メッセージには、短メッセージ(112ビット)と長メッセージ(144ビット)とがある。長メッセージは、短メッセージの112ビットの後に、遭難位置の緯度・経度を送信する32ビットが追加されているだけの違いである。ビット25の1ビットは、長短メッセージの識別で、「0」が短メッセージ、「1」が長メッセージである。ビット26の1ビットは、メッセージの型式を示す符号で、「0」は海事と位置のメッセージ型式、「1」は各種の利用者用のメッセージ型式で、ここは普通は「1」である。27〜36の10ビットはMID(海事識別数字)で、この標識の国名を表す。37〜85の49ビットの初めの3ビット(ビット37〜39)は、利用者の種類で、海事は「010」、次の40〜75の36ビットは、とう載船舶の呼出し符号から前にあるMIDを除いた1文字6ビットの6文字で、この2進数6ビットから英字または数字への変換の表は、次の節に示した郵政省告示第572号のところにあるので参照されたい。続く76〜81の6ビットは同じく英数字に変換され、同じ船舶に2台以上の標識が

 

 

 

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